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新ひだか町・二十間道路桜並木の樹勢回復措置その3

2020年11月24日

 令和2年11月17日(火)、新ひだか町の二十間道路桜並木の5本の桜を対象に、樹勢回復措置を行いました。新ひだか町から、桜並木の桜の樹勢回復事業の業務委託を受けている樹木医金田正弘氏に、当社樹木医木戸口和裕が土壌改良の提案を行ったことに端を発したもので、当社の社会貢献活動の一環として行っています。

 これまで、当社の当該地での土壌改良に関する措置は、第1回目は令和元年11月14日から15日までの2日間、第2回目は令和2年6月18日から19日までの2日間、行っており、今回が3回目になります。割竹縦穴式土壌改良法及び縦穴式土壌改良法を主としたもので、御礼肥えと寒肥えの時期に、継続的に行っています。

 参加者は、樹木医金田正弘氏、御子息の金田紘幸氏、㈱環境整備公社から不動祐樹氏ほか2名、当社から営業課長岩井政人、樹木医木戸口和裕の計7名で行いました。また、新ひだか町まちづくり推進課の三橋一仁氏も作業を見に来てくださいました。

二十間道路桜並木の桜(金田正弘氏撮影2018年5月5日)
二十間道路桜並木の桜(金田正弘氏撮影2018年5月5日)

 今回の措置は、二十間道路のうち、「エントランス広場」から奥へ300mほど右側の地点の大山桜4本、霞桜1本の計5本です。

作業状況
作業状況

 今回の樹勢回復措置は、基本的には昨年11月と本年6月に実施したものとほぼ同様ですが、金田樹木医が調達した使用資材に違いがあります。
 一つ目は、孟宗竹の割竹をこれまでよりも多く使用したことです。割竹縦穴式土壌改良法をこれまでの1本の桜に対し、6~8か所程度から、12か所に増やしています。金田樹木医が、本年、景観の保護などを目的とした社会貢献活動として、松前町の密生した竹林の間伐をした際に生じた間伐材を、多く入手したことが背景にあります。
 二つ目は、従来の道外産の下水汚泥をベースにした堆肥から、牛糞ベースの地元産堆肥への転換です。地域の資源を地域で活用するという資源の好循環や輸送による二酸化炭素削減につながるものと考えます。
 三つ目は、従来のもみ殻燻炭から木質チップ炭への変更です。砂川市の「砂川レイクサイドの会」から購入したもので、炭自体が大きいので、多くの微生物のすみかとして期待され、また、炭自体重いので、風による逸散が少ないことが利点です。

 施工内容は、次のとおり。
①深さ0.6mから0.9mの縦穴をアースオーガで掘削し、樹冠の縁付近に環状に12か所程度の割竹縦穴式土壌改良法と、全体的に10か所程度の縦穴式土壌改良法を行った

アースオーガによる縦穴の掘削(金田正弘氏撮影)
アースオーガによる縦穴の掘削(金田正弘氏撮影)

②フルボ酸の植物活性剤「フジミン®」(以下「フジミン」といいます。)500倍希釈液に、稚内珪藻土(厳密には稚内珪藻頁岩粉砕物)をどぶ漬けしたものを作成し、これに特殊解繊処理された木質ファイバーである「DWファイバー」、地元産堆肥、砂川産堆肥、木質チップ炭、ピートモス、樽前産火山灰との混合物(以下「混合土」といいます。)を作成した

フジミン500倍希釈液にどぶ漬けした稚内珪藻土(右下)を混入及び地元産堆肥を混入(左上)して、「混合土」を作成(金田正弘氏撮影)
フジミン500倍希釈液にどぶ漬けした稚内珪藻土(右下)を混入及び地元産堆肥を混入(左上)して、「混合土」を作成(金田正弘氏撮影)

③縦穴に割竹と混合土、または単に混合土を投入した

混合土の投入
混合土の投入

④穴あけ器による深さ20cm程度のエアレーションを根の範囲に格子状に多数行った
⑤穴あけ器でできた穴には固形肥料(まるやま1号)1個投入し、その上に混合土を投入した
⑥混合土を根の範囲全体にも散布した
⑦高度化成肥料を散布した
⑧フジミン500倍希釈液を樹冠の縁付近に環状及び重点的に散布するとともに、根の範囲全体にも散布した

土壌改良措置の完了(金田正弘氏撮影)
土壌改良措置の完了(金田正弘氏撮影)
割竹縦穴式土壌改良法の地上部
割竹縦穴式土壌改良法の地上部

 上記①、④での縦穴やエアレーションを多数行ったのは、根への酸素の供給量を増やすことを目的としています。
 上記②、⑦のフジミンには、土壌中のミネラル(肥料分)を樹体内に吸収されやすい状態で受け渡す「キレート作用」があります。
 上記②のDWファイバーには、製品そのものにフジミンが添加されており、土壌のCEC(陽イオン交換容量)を高めます。
 上記②の稚内珪藻土には調湿機能があり、水分や養分をゆっくりと樹木に供給し、土壌の乾燥防止や肥料の緩効促進を期待しています。

 桜の木の下には、樹冠の投影面積以上に根が広範囲に張りめぐらされています。今回の樹勢回復措置の内容は、土壌改良そのものです。桜の木の細根に酸素、水、肥料を十分に供給できる土壌空間にして、ミミズや微生物に活動をしやすくし、根の範囲を全体的に柔らかくして、細根の発達を促していこうとするものです。
 しかしながら、当該地では、車両による草刈りが行われているため、後日、㈱環境整備公社が今回の土壌改良の範囲への車両の乗り入れを禁止する「縄張り」を設定しています。
 樹勢回復も草刈りも桜の維持管理行為ですが、それぞれの行為の整合性を保つためには、桜1本1本が十分根を張っていく区域と維持管理のために車両を乗り入れする区域とのゾーニングが必要ではないかと感じました。

「縄張り」後の枝垂れ気味の霞桜(左)と大山桜(エゾヤマザクラ)(金田正弘氏撮影2020年11月20日)
「縄張り」後の枝垂れ気味の霞桜(左)と大山桜(エゾヤマザクラ)(金田正弘氏撮影2020年11月20日)

 今回、実施した樹勢回復措置(土壌改良)は、来年夏の花芽形成に役立ち、再来年以降の花の開花に良い結果をもたらすものとして、注視してまいります。
 とりわけ、樹勢回復措置した5本のうち、1本の枝垂れ気味の霞桜は、桜並木を代表する名木になるのではないかと思い、来春、どのような花が咲く個体なのかを確認する予定です。