北海道当別町開拓記念樹イチイへの「協働」保全作業・その6
令和3年4月6日(火)、北海道当別町(とうべつちょう)当別神社境内に隣接した公園内にある当別町開拓記念樹イチイの雪吊りの取り外しと、フルボ酸の植物活性剤フジミン®(以下「フジミン」といいます。」)の散布を行いました。
この作業の参加者は、当社から代表取締役小野由紀光、企画営業部長岩井政人、樹木医木戸口和裕の3名、当別町から1名の計4名です。
当社所在地の札幌市では、3月23日に積雪がゼロになりましたが、ここ、当別町では当日、まだ多くの積雪があり、イチイの木の根元のコンクリートに囲われたところだけ、地面が顔を出している状況でした。
今冬は、当別町・岩見沢市方面で降雪量の多い年となりました。石狩湾小低気圧の影響が考えられ、あたかも「線状降水帯」ならぬ「線状降雪帯」が形成され、西北西の風に乗り、雪雲が次々にこの方面に流入したことが原因であると思われます。
最初の作業は、雪吊りの縄の取り外しです。
次に、支柱及び帆柱の取り外しです。取り外したものは、当別神社本殿の収納庫に保管しました。収納庫は湿気が多いためか、これまで縄が2シーズンしか使用できなかったため、今回は、帆柱の先端部分に結ばれている縄の方へ全て縄を集め、竹炭を入れたビニール袋に入れてみました。袋は帆柱の先端が入っているため開いている状態で、少量の竹炭ではありますが、どの程度、調湿機能が働き、縄が長持ちするか試してみることとしました。
次に、フジミン500倍希釈液20Lを、イチイの根元の地面が出ているコンクリート壁の内側にのみ散布しました。
イチイは、これまでのフジミンや施肥の効果を反映し、昨年の新生枝の伸びが目立ち、葉量も増え、また、葉の色つやが良いと見受けられました。平成30年9月に、台風によって隣にあったハルニレの木が倒木し、浴びせ倒し状にイチイを直撃したため、イチイの樹高が半分になり、おそらく葉量も半分程度になったと思われます。
あれから約2年半が経ちますが、イチイは、葉量を少しずつ多くして、樹勢の回復を行っています。葉量が多くなれば、その分風雪の影響も受けやすくなります。
帆柱などを収納庫に運ぶ時に、神社の参道沿いの雪吊りをしていない樹木の枝が多数折れていました。当該イチイは、雪吊りによって、枝折れの被害は皆無でした。当別町のような比較的雪の多いところは、イチイの葉量の増加も踏まえて、雪吊りをした方が無難であるということを、今冬の現場が私どもに教えてくれているのではないのかと思いました。
今夏には、新葉の状況を確認する予定です。次回は、本年11月に雪吊り等の「協働」作業を行うこと当別町の担当者と打合せをして、作業を終了しました。