林業の軽労化~下刈作業軽減化対策試験地の設定と測定
当社は、令和元年5月27日(月)、林業における下刈作業の軽減化を目的に、空知総合振興局森林室との連携事業として、道有林空知管理区内に試験地(トドマツ造林地)の設定作業を行いました。
設定作業は、森林室奥村日出雄室長ほか2名、当社から金井茂理事ほか2名が参加しました。途中から造林、造材、森林土木等の担い手対策に積極的に取り組んでいる日本緑化中村㈱(沼田町:中村剛代表取締役)から中村崇保本部長ほか2名に応援していただき、合計9名で行いました。
また、11月7日(木)、森林室奥村日出雄室長ほか3名、当社は山下拓人係長ほか1名の計6名で本年度の試験地でのトドマツ成長量の測定作業を行いました。
下刈作業軽減化の具体的な内容は、森林土壌の腐植物質に微量含まれる有機酸であるフルボ酸に着目し、このフルボ酸が高濃度に含まれた植物活性剤「フジミン」(販売元:サンスイ・ナビコ㈱)によって、樹木の光合成量を高めるともに、木材チップを特殊解繊処理(水蒸気爆発させたもの)し、これによる土壌の保肥力アップを図る土壌改良剤「DWファイバー」(製造元:大建工業㈱)を組み合わせて、土壌改良剤としてだけでなく、マルチング材としても使用しています。
マルチング材は、下草の抑制というよりも、むしろ、フルボ酸を降雨や融雪時も含めて比較的長期間に渡って、樹木の根への供給を図ることを主目的とした、いわば「フルボ酸貯蔵庫」としての役割です。
このことにより、トドマツなどの造林木の初期成長を促進し、下刈期間の短縮化(例:7年→4年)を図り、総下刈作業量を減少させたいと考えています。
なお、フルボ酸が高濃度に含まれた植物活性剤「フジミン」は、地球環境大賞2019(主催:フジサンケイグループ:1992年、「産業の発展と地球環境の共生」をめざし、産業界を対象とする顕彰制度)で農林水産大臣賞を受賞した製品であることを申し添えます。
当社では、今後、土壌改良剤としてのみの使用区、薄いマルチング材使用区、厚いマルチング材使用区、対照区、それぞれのトドマツの成長量の経年的に計測を行うとともに、下刈作業終了年の変化などに注目して、コストパフォーマンスを含めた効果を実証し、林業労働の新たな省力化、軽労化対策の一つとして提案することができれば良いと考えています。