松前神社社務所前の「復興・復活」を象徴する桜「御座の間匂」への施肥
令和元年11月12日(火)、北海道松前町(まつまえちょう)にある松前神社(まつまえじんじゃ)社務所前に生育している桜「御座の間匂」に施肥をしました。
松前神社は、明治12年(1879)以来、開拓使に神社創立を出願し、明治14年(1981)2月8日付けで許可され、旧福山城の北の丸址を境内地に充て社殿を建立しています。松前藩松前家の元祖の武田信廣公をお祀りしています。現在の社殿は、大正12年(1923)に総檜造りで再建されたものです。
今回、施肥をした桜は、昭和30年代まで、地元では名前がわからない里桜であったため、「無名の桜」と称していた大木の桜でした。松前神社周辺の松前公園には、明治33年(1900)に当時の皇太子(後の大正天皇)の御成婚をお祝いして、地元の経済界が「松前奉祝会」を結成し、多くの「染井吉野」を「千株桜」と称して松前公園内に植栽しています。 桜守である浅利政俊氏は、この「無名の桜」はおそらく千株桜と同じ頃、松前に導入されたものではないかと推定しています。
この桜は、昭和40年代に有識者により、「御座の間匂」(ござのまにおい)と同定されました。かつて大木であったこの桜は、その後、老齢のため内部腐朽が進み、樹勢が衰えながらも気根(空中の根)を出し、それを地面に到達させて根となり、地上の部分は幹化して、枯死寸前から見事に復活しています。桜の有する生き残り戦略、そのしたたかさに驚きます。
しかしながら、首の皮1枚ならぬ気根からの細い幹1本で命をつないでいるこの桜は、社務所に近く、根が張れる場所は限られているので、この先に試練に耐えていけるのか不安があることや、「復興・復活」をイメージさせるこの木をできるだけ延命していきたいとの考えから、施肥をすることにしました。
「秋の日は釣瓶落とし」といいますが、11月12日16時40分頃の作業は、以下の画像のとおり暗い中でした。木田裕教宮司には、施肥への御理解をいただくとともに、このような中、森田光雄氏子総代とともに立会していただき、ありがとうございました。
施肥の内容は次のとおり。
①固形肥料の埋め込み 「まるやま1号」という遅効性固形肥料を穴あけ器によるエアレーションを兼ねた穴に投入しました。
②堆肥の散布
岩見沢市の指導林家玉田孝さんが作製した牛糞ベースの堆肥を同氏から寄贈いただき、これを散布しました。
③「フジミン」希釈液の散布
フルボ酸が高濃度に含まれた植物活性剤「フジミン」(販売元:サンスイ・ナビコ㈱)は、地球環境大賞2019(主催:フジサンケイグループ:1992年からの「産業の発展と地球環境の共生」をめざし、産業界を対象とする顕彰制度)で農林水産大臣賞を受賞した製品で、植物の光合成量を高めることから、北海道の一次産業を豊かにすると期待される商品です。
この「フジミン」500倍希釈液を36L散布しました。フルボ酸のキレート効果により、肥料のミネラルを効率的に樹体の中に取り入れて光合成量を高めて、樹勢を活力あるものとすることが狙いです。来年の花芽の形成は既にされているので、再来年に向けて、その効果が期待されます。継続して、フジミン効果などを注視してまいります。