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ドローン(小型無人機)を活用した緑化~スマート林業の挑戦

2020年07月28日

 令和2年6月4日(木)、当社は、空知総合振興局森林室との共同事業として、当別町所在の道有林空知管理区内のR1トドマツ植栽地において、下刈り期間の軽減化を目的に、ドローンを活用して、フルボ酸の植物活性剤「フジミン®」(以下「フジミン」といいます。)の希釈液の散布を行いました。
 植栽後1年のトドマツに、フジミンの希釈液を2m程度上空から散布することで、初期成長を促進して、下刈り期間を短期間(例:7年 → 4年)とすることによって、造林作業の省力化、ICT技術を活用した生産性の向上、労働安全の確保のため、ドローンを活用した新たな森林造成技術の確立を目指すものです。
 空知総合振興局森林室からは、須藤司主幹、山川芳樹技師が参加しました。当社からは、金井茂理事、木戸口和裕樹木医の2名の参加、そして、当社のグループ会社、国土防災技術㈱緑環境事業部の飯田毅課長補佐が、ドローンの操縦を担当しました。

ドローンの組み立て
ドローンの組み立て

 なお、フジミンは、フルボ酸が高濃度に含まれている製品で、地球環境大賞2019(主催:フジサンケイグループ:1992年創設の「産業の発展と地球環境の共生」をめざし、産業界を対象とする顕彰制度)で農林水産大臣賞を受賞した製品です。
 フルボ酸には、土壌中のミネラル(肥料分)を樹体内に吸収されやすい状態で受け渡す「キレート作用」があり、光合成量を高めることができます。また、pH緩衝能もあるため、フジミンは、東日本大震災の津波による塩害地やJICA事業で南米パラグアイの農地などの土壌改善に使用されており、世界の食糧危機の回避のための製品として期待されます。

ドローンのタンクにフジミン注入
ドローンのタンクにフジミン注入

 R1植栽のトドマツに、フジミンを水で希釈した溶液を、農業用ドローンの薬剤散布用のノズルを使用した散布を行いました。今後、毎年、年1回、5月下旬頃に散布することとし、1年散布(1回散布)、2年散布(2回散布)、3年散布(3回散布)の3試験区を設定し、無散布地の対照区を含めて、成長量(根本径・樹高)の比較を行い、フジミンの効果などを検証してまいります。

ドローンによるフジミン希釈液散布状況
ドローンによるフジミン希釈液散布状況
フジミン散布状況
フジミン散布状況

 なお、現在、技術革新中のドローンですが、今回の散布で感じた性能の向上に関する課題は次のとおりです。実用化へのハードルが下がってくることを期待します。

①今回用いたドローンは、現在市場で購入しやすい5Lを運べるタイプのものですが、実用化には、今回の10~20倍の容量を運べるよう、ドローン大型化・汎用化が必要です。

②今回の1回のフライトで、リチウムイオンバッテリーが12分程度しか持たなかったため、バッテリーの大容量化小型化軽量化も必要です。

③スラリーのような固体と液体の混ざったものでも散布できるよう、技術革新が必要で、これが可能となれば、航空緑化の道が開けます。水分の散布は、水の粒子が細かいほど、風に左右されやすいですが、スラリーであれば、問題は少なくなると思います。

④今回、霧状に散布すると広すぎる範囲の散布となってしまうことや、霧状ではわずかな風にも水分が持っていかれてしまうので、液状のものを線状に散布しました。線状では、苗木と苗木の間にも散布されることになるので、雑草の伸びを助長させてしまうことは否めません。散水が苗木の根の範囲だけに届くよう、ピンポイントで散布することが理想で、将来的にはカメラ搭載等が必要となると思われます。

⑤今回用いたドローンは、平坦地を前提とした農業用であったため、山の傾斜地を一定の高さで移動させることには対応しておらず、操縦で対応しています。レーザー等で飛行高度を一定にする技術が開発されることで、山でも対応できることを期待します。

フルボ酸高濃度配合の植物活性剤「フジミン®」
フルボ酸高濃度配合の植物活性剤「フジミン®」