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新ひだか町・二十間道路桜並木の樹勢回復・その2

2020年06月22日

 令和2年6月18日から19日にかけて、新ひだか町の二十間道路桜並木の樹勢回復措置を行いました。これは、新ひだか町から、同並木の桜の樹勢回復事業の業務委託を受けている樹木医金田正弘氏が、当社樹木医木戸口和裕の樹勢回復に関する提案を受け、7本の桜を対象に行ったものです。18日、作業開始時は小雨の中での作業でしたが、そのほかは雨にあたることなく、作業できました。
 令和元年11月14日から15日にかけて4本の桜の樹勢回復措置を行っていますが、今回の提案は、マルチングを止めたことにより、前回より施工費をできるだけ低く抑えたものにしています。
 参加者は、樹木医金田正弘氏、金田氏の御子息の紘幸氏、㈱環境整備公社から不動祐樹氏ほか2名、新ひだか町まちづくり推進課の三橋一仁氏、当社から樹木医木戸口和裕の計7名で行いました。
 今回の措置は、二十間道路のうち、「花のトンネル」と呼ばれる「さくらまつり」のメイン会場となる場所に生育している7本で、いずれも百年を超えると思われる大山桜(エゾヤマザクラ)を対象に行いました。

二十間道路桜並木の桜(金田正弘樹木医撮影2018年5月5日)
「花のトンネル」でのさくらまつり(金田正弘樹木医撮影2017年5月8日)

 今回の樹勢回復措置は、基本的には昨年11月とほぼ同様ですが、次のとおり行いました。
①深さ0.7mから1mの縦穴をアースオーガーで掘削し、樹冠の縁付近に環状に6か所の割竹縦穴式土壌改良法と、全体的に10か所程度の縦穴式土壌改良法を行った
②木質チップを水分調整材に使用した北海道砂川産堆肥、稚内珪藻土(厳密には稚内珪藻頁岩粉砕物)、特殊解繊処理された木質のDWファイバー、ピートモス、樽前産火山灰との混合物(以下「混合土」といいます。)を使用した
③縦穴に割竹と混合土、または単に混合土を投入した
④穴あけ器による深さ20cm程度のエアレーションを根の範囲に格子状に多数行った
⑤穴あけ器でできた穴には固形肥料(まるやま1号)1個投入し、その上に混合土を投入した
⑥混合土を根の範囲全体にも散布した
⑦フルボ酸の植物活性剤「フジミン®」(以下「フジミン」といいます。)500倍希釈液を樹冠の縁付近に環状及び重点的に散布するとともに、根の範囲全体にも散布した

 上記①、④での縦穴やエアレーションを多数行ったのは、根への酸素の供給量を増やすことを目的としています。
 上記②の稚内珪藻土には調湿機能があり、水分や養分をゆっくりと樹木に供給し、土壌の乾燥防止や肥料の緩効促進を期待しています。
 上記⑦のフルボ酸には、土壌中のミネラル(肥料分)を樹体内に吸収されやすい状態で受け渡す「キレート作用」があります。

アースオーガーによる縦穴の掘削
稚内珪藻頁岩などによる「混合土」の作成
フジミン希釈液の散布
割竹縦穴式土壌改良法、縦穴式土壌改良法の施工状況
措置完了後

 花のトンネルの桜は、二十間道路の本線とは違って、桜の木の後ろに針葉樹を背負っていないため、光を十分に浴びられる条件となっています。また、森林の中の桜と比べても、他の樹種との熾烈な光の奪い合いをすることもないので、十分、長生きできる条件下にあります。
 今回の樹勢回復措置は、二十間道路桜並木の歴史の生き証人である百年を超えると思われる大山桜(エゾヤマザクラ)のいわばアンチエイジング措置です。当該地のイベント開催のための砂利敷設、重機による整地や踏圧などにより、根の範囲の土壌が固く、狭まるなど、とても悪い環境になっていましたが、少し良い環境に変えて細根を発達させ、葉量や花芽の増加などにより、樹木本来の有する樹勢を取り戻す試みです。