北海道「空知ワイン」のブドウ収穫作業ボランティア
1 はじめに
令和3年(2021年)10月3日(日)、当社樹木医の木戸口和裕が、空知管内のある町のヴィンヤード(vineyard)において、「空知ワイン」の赤ワインの原料となるブドウの収穫作業ボランティアに参加しました。
きっかけは、木戸口の知人が平成30年(2018年)からボランティアでの収穫作業に取り組み、本年(2021年)も行うことを伺い、木戸口が体験したいと申し出たことによるものです。
これまで、ヤマブドウなどのブドウを樹木医学の対象として自分が意識していなかったことの反省や、ワイン用ブドウの収穫量の増大や耐病性の観点から、その栽培過程で当社が扱うフルボ酸の植物活性剤フジミン®が寄与できるのではないかという問題意識もあって、参加を申し出たものです。
知人の話では、ヴィンヤード所有者は、ボランティアの条件として丁寧な作業をする人でなければいけないとのことで、ブドウ狩りの経験しかない木戸口に務まるものかどうか不安はありましたが、とりあえず参加の許可をいただいたのでした。
なお、知人のそもそものきっかけは、ヴィンヤード所有者が兼業農家で、収穫時期の人手不足から、夜、照明をつけながら収穫作業していて、その姿を見かねた近所の方が知人に支援するよう助言したことによるもの、と聞いています。
2 収穫作業
収穫作業は、私を含めた知人のグループが6人、その他にもグループもしくは単独の方、そしてヴィンヤード所有者を含め10数名で行いました。すっきりとした秋晴れの中で、木戸口は9時半から16時まで5時間半、作業を行いました。
今回の作業の対象は「セイベル13053」です。見た目は北海道の山にある「ヤマブドウ」に似て、ポリフェノールがたっぷりと含まれているように見える黒色で、実のサイズも同じくらいでした。酸味があるように見えましたが、一粒食べてみると、思ったよりも甘いことに驚きました。糖度が20あるとのことでした。
空知総合振興局のワインに関する資料によると、セイベルの原産地はフランスで、「セイベル13053」は、平成30年(2018年)の赤ワイン用品種としての道内の栽培面積は18.9ヘクタールで、「ツバイゲルト」、「ピノ・ノワール」、「山幸」に次いで、4位となっています。この「13053」の数字からは、育種家の並々ならぬ努力が感じられます。フィロキセラ(ブドウアブラムシ)耐性を目的に開発されたとのことです。
なお、セイベルには、白ワイン品種もあるようで、「セイベル5279」、「セイベル9110」、「セイベル10076」が平成30年(2018年)では道内で栽培されています。
収穫に当たっては、完熟した実だけを選抜し、未熟な実、病気罹患して不健全に見える実などは除外しています。
ビール箱の椅子に座りながら、垣根仕立てにたわわに実る実を前側から全て収穫していき、終了すれば、隣のエリアにずれていきます。終了したエリアを見ると、達成感が得られます。ずっと単純な作業の繰り返しではありますが、たとえブドウのオーナーではなくても収穫することの喜びが沸いてきます。収穫箱の下にあるブドウがつぶれないようにするため、箱の半分ぐらいまでで入れるのをやめて、いくつか箱がたまれば、集積地まで運びます。
3 おわりに
わすか5時間半の作業でしたが、貴重な体験をさせていただきました。知人やヴィンヤード所有者など、関係者の皆様に感謝申し上げます。北海道がワイン用ブドウの主要な産地になりつつあることを実感しました。
さて、来年(2022年)は、苗木の定植の予定もあるとの話を伺いました。また、アライグマ対策を十分にしなければならないという話もありました。今後は、収穫だけではなく、定植などの作業も含めて、できるだけ参加させていただいきたいと思っています。