北海道大学農学部での避難行動訓練(EVAG)講義の実施
令和元年12月16日、北海道大学農学部森林科学科2年生等約40名を対象に、砂防工学の講義の一環として、当社のグループ会社、国土防災技術㈱(東京:代表取締役社長相川裕司)が開発した避難行動訓練教材EVAG(豪雨災害編)を用いた1時間半の講義を行いました。
当社社員で、北海道大学大学院修士課程卒の柳井一希が、恩師の笠井美青(かさいみお)准教授(大学院農学研究院基盤研究部門流域砂防学研究室)への働きかけもあって、CSR活動として実現したもので、当社としては、はじめての道内の教育機関でのEVAG講義となりました。
EVAG(Evacuation (避難)Activity(行動) Games (ゲーム))は、当社のグループ会社である国土防災技術㈱が開発した防災教育教材で、豪雨災害編がサンスイ・ナビコ㈱から販売されています(1セット税別8,500円)。この開発目的は、確かな情報を見極め、自分で優先順位を判断し、行動できる自立した人を育てることです。そして、さらに、自助、共助への気づきを促すことにあります。
防災教育教材には、DIG(簡易型図上訓練:Disaster(災害)Imagination(想像力) Game(ゲーム)の頭文字)、HUG(避難所運営ゲーム:Hinanzyo Unei Gameの頭文字と英語でHUG「抱きしめる」という意味)、あるいは、北海道庁がHUGの北海道版(積雪寒冷に配慮)として作成した「DOはぐ」などがありますが、避難行動に焦点をあてたものの一つに、このEVAGがあります。
講義の根幹であるワークショップのファシリテーターは、国土防災技術㈱コミュティ防災課の大沼乃里子氏が行い、避難所係は当社の岩井政人と木戸口和裕が務めました。
当該講義では、まず始めに、EVAGの解説を行い、次に、実際にEVAGを用いて、ワークショップを行いました。具体的には、自分と異なる属性(例:80男性一人暮らし、10歳女性右腕骨折、等)を ロールプレイしながら、豪雨による災害リスクが高まる中で、疑似避難行動訓練(シミュレーション)を体験し、グループディスカッションを行い、課題について考察します。
ワークショップには、通常2時間程度必要ですが、今回の講義では1時間半であったため、グループディスカッションやグループ発表時間を一部割愛しています。
ファシリテーターの大沼氏によると、今回の講義では、シミュレーションで警戒レベルが上がる前に、避難していく人が多いという結果となったことが特徴的であり、「ロールプレイ」をしつつも、防災を学んでいる学生であるため、防災意識の高さを反映しているのではないかとのことです。
今回のEVAGを用いた講義の受講者の感想は、次のとおりです。
・「日本国民全員に、EVAGをやってほしい。」
・「自分でない人の立場になって考えられて、色々な困難を抱えている人は非常時に大変で、その人達の対策をもっと考えるべきなんだろうと思った。」
・「今の自分は、避難に困ることはないけど、人によってはすぐに避難できなかったり、障害が多いことがわかり、そのような人達の支援が大切だと感じた。」
・「実際に避難所が混み合う様子が再現できており、知識を教えられるより、分かりやすかった。」
近年の大雨災害で、堤防決壊や越水など、ハード対策では人の命を守ることの困難さが浮き彫りになっています。私どもの会社は、防災施設のコンサルティングを主としていますが、早くより安全なところへ避難することを促す防災教育も重要と考えています。
このため、防災教育を通して、地区防災計画や市町村防災計画の策定支援などを受託し、道民の方々の生命を守ることに貢献してまいりたいと考えています。