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新ひだか町・二十間道路桜並木の樹勢回復措置その4~枝垂霞桜など

2021年12月02日

1 はじめに
 令和3年(2021年)11月18日(木)、新ひだか町の二十間道路桜並木のエントランス広場の2本の桜を対象に、樹勢回復措置を行いました。
 本題に入る前に、エントランス広場とその隣にある桜舞馬公園(オーマイホースパーク)について、お知らせします。二十間道路桜並木の多くを占める大山桜の開花以外の魅力についても紹介したいのです。
 エントランス広場は、二十間道路桜並木の入口にあり、さわやかトイレ、駐車場や牧場案内所があります。
 一方、桜舞馬公園(オーマイホースパーク)は、優駿テスコボーイの記念像をはじめ、アンバーシャダイ、サクラユタカオーなどの名馬の墓碑があり、競馬ファンの聖地となっています。
 当社樹木医木戸口和裕のこの公園での植物学上の注目点が二つあります。1点目は、「釧路八重」という桜が2本あることです。次の写真が当該地の釧路八重の写真です。

釧路八重 2021.05.06(桜舞馬公園)

 2020年、木戸口の調査によると、当該地の釧路八重の花弁数は30枚前後でした。花弁数を除けば、大山桜そのものとも思える印象でした。最近発表された「鶴菊桜」や1994年(平成6年)に桜守浅利政俊氏が「厚岸枝変わり菊咲釧路八重」を発見しており、これらとの比較検討が必要であると思っています。
 2点目は、クロビイタヤです。公園内には「クロビイタヤの新種発見顕彰記念碑が建立されており、発見者の植物学者の宮部金吾氏、マキシモビッチ氏、新冠御料牧場第四代場長黒岩四方之進氏などが顕彰され、碑文は桜守浅利政俊氏によるものです。この碑近くには、クロビイタヤが自生しているので、記念碑とともに、是非、訪れていただきたい。

クロビイタヤ 2019.08.16(桜舞馬公園)

2 樹勢回復措置対象木の枝垂霞桜などについて
 当該樹勢回復措置は、新ひだか町から、桜並木の桜の樹勢回復事業の業務委託を受けている樹木医金田正弘氏に、当社樹木医木戸口和裕が土壌改良の提案を行ったことに端を発したもので、当社のCSR活動の一環として行っています。

 当社の当該地での土壌改良に関する措置は、今回で4回目になります。割竹縦穴式土壌改良法及び縦穴式土壌改良法を主としたもので、今回は、寒肥えの時期に行っています。
 対象木の桜は1本は大山桜ですが、これまで全くノーマークの桜です。
 もう1本は、今後の新ひだか町の桜観光の目玉の一つもとなりうる「枝垂霞桜」で、注目していた桜です。枝垂霞桜は、全国的にも珍しい桜です。この桜の場合は、全ての枝が下垂しているわけではありませんが、多くの枝が下垂しているため、枝垂霞桜と呼んで良いのではないかと思っています。
 本年(2021年)5月6日 、咲き始めの花を撮影しました。二十間道路桜並木の主体をなす大山桜は、5月4日に満開を迎えておりましたが、この枝垂霞桜は、5月6日の時点では1分咲きで、大山桜よりも1週間程度遅れて咲くという霞桜の特性を示していました。

枝垂霞桜(1分咲き)2021.05.06

 紅色の強い大山桜とは違って、淡紅色です。萼筒の色も緑がかっており、大山桜のような紅色は強くありません。小花柄には開いた短い毛があり、霞桜が「毛山桜」とも呼ばれる理由が良くわかる個体です。

枝垂霞桜2021.05.06
枝垂霞桜2021.05.06
樹勢回復措置着手前の大山桜(金田正弘樹木医撮影)

3 気根誘導の状況
 今回の計2本の桜は、2年前の2019年に金田樹木医がエアレーション及び固形肥料により土壌改良のほか、気根誘導を実施したところです。
 気根誘導では、造園テープを巻いており、黒ビニール被覆もしていて、カラスのいたずらで一部はがされているため、今回、これらを外しています。
 気根誘導の第一人者である金田樹木医によると、最近は、造園テープや黒ビニールといった資材の使用をやめて、ピートモスなどの被覆材料が直接見えるように施工するようにしている、とのことでした。
 気根誘導では、枝垂霞桜の方は駐車場の脇にあるため、除雪によるものなのか、何によるものか定かではありませんが、大きな傷からの気根が張り付けたピートモスなどの材料に沿って伸びている状況が確認できました。

枝垂霞桜の気根誘導

4 表層土壌のpH値、EC値
 前年(2020年)4月3日に、簡易なpH計、EC計で、枝垂霞桜の表層土壌の測定をしています。これによるとpH値は5.31で、「明酸性」を示しています。通常の森林土壌よりも若干酸性が強い程度の値です。周辺は、ヨーロッパトウヒやカラマツがあり、駐車場に堆積したものを、おそらくはリーフブロワーなどで、駐車場脇にあるこの桜の周辺に厚く堆積させた結果であると思います。針葉樹の葉は分解しにくいので、表層のpH値が少し酸性に傾いたものと思います。
 EC値は、0.02で、「非常に養分が低い状態」となっていますが、森林土壌では普通に見られる値です。バラ科の植物である桜にとっては、花芽を増やすために、もう少し高めたい値となっています。

簡易pH計・EC計による表層土壌の測定 2020.04.03

5 樹勢回復措置
 今回の土壌改良を内容とする樹勢回復措置の参加者は、樹木医金田正弘氏、御子息の金田紘幸氏、当社から樹木医木戸口和裕の計3名で行いました。また、新ひだか町まちづくり推進課の三橋一仁氏なども作業を見に来ていただきました。

 土壌改良資材は、①フジミンForest(フォレスト)、②フジミン500倍希釈液含侵稚内珪藻土、③DWファイバー(木質チップを特殊解繊処理してフルボ酸を添加したもので、土壌の透水性、保水性の改善を目的としたもの)、④木質チップ炭、⑤ピートモス、⑥新ひだか町産堆肥、⑦樽前火山灰、⑧鹿沼土、⑨赤玉土、を用いました。

 このうち、①のフジミンForest(サンスイ・ナビコ㈱販売)は当地では初使用です。10kg/袋の新製品で、1袋に対して液体であるフルボ酸の植物活性剤フジミン® 1Lをまるごと使用した固形化資材で、液体に比べて持続性に優れています。
 今回は、液体のフジミンと固形化資材であるフジミンフForestを併用しています。液体の即効性、固体の持続性、そして、稚内珪藻土(正しくは稚内珪藻頁岩粉砕物)の持つ保水力、保肥力に期待しているからです。

土壌改良資材(金田正弘樹木医撮影)
土壌改良資材に添加したペレット状になっている「フジミンForest」
(金田正弘樹木医撮影)

  土壌改良を内容とする樹勢回復措置の内容は、次のとおり。
(1)アースオーガによる「割竹縦穴式土壌改良法」、または「縦穴式土壌改良法」で、上記土壌改良資材を撹拌したものを「混合土」として投入。
(2)穴あけ器でエアレーションし、その穴に、固形肥料を投入し、かつ、混合土の投入
(3)割竹縦穴式土壌改良法を実施した箇所を重点に、フジミン500倍希釈液を散布。
(4)高度化成肥料を微量全面散布

現地での割竹づくり
土壌改良資材の撹拌(金田正弘樹木医撮影)
アースオーガによる縦穴堀り
混合土の投入(金田正弘樹木医撮影)
割竹縦穴式土壌改良法の混合土の充填後
フルボ酸の植物活性剤フジミン®500倍希釈液の散布(金田正弘樹木医撮影)
枝垂霞桜の樹勢回復措置の完了
大山桜樹勢回復措置の完了

 アースオーガーによる縦穴は、当該地では40cmから60cm程度しか掘ることができなかったので、割竹の切断を行いました。「割竹縦穴式土壌改良法」は、大山桜で17箇所、枝垂霞桜では18箇所行いました。今回は、駐車場の脇に桜が生育しているため、根の範囲が半円状になっていると思いますが、「割竹縦穴式土壌改良法」の施工密度は、一平方メートル当たり一箇所程度と、これまでになく、高いものとなりました。細根の三次元的展開、そして、ミミズや土壌微生物の活動の活発化による周辺土壌の改良を目的としています。
 「秋の日は釣瓶落とし」ということわざがありますが、完了写真の撮影時刻は16時20分頃ですが、薄暗い写真となりました。冬がもうそこまで来ているということを意識させられました。

6 おわりに
 今回、実施した樹勢回復措置(土壌改良)を行った2本のうち、大山桜は内部腐朽が進んでいることを示すツガサルノコシカケの子実体が出ています。大きな傷を負った枝垂霞桜の方も樹勢回復に楽観は許さない状況です。
 駐車場脇という特殊な環境に生育しているため、大型車両の駐車による枝の損傷などを心配しています。枝垂霞桜の希少性を鑑み、この点に配慮した駐車場利用を検討していただきたいと願っています。
 本年の措置は、来年夏の花芽形成に役立ち、再来年以降の花の開花にきっと良い結果をもたらしていくものと考えており、注視してまいりたい。