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和寒町「ふれあいのもり」のシラカバ等の樹勢回復措置・その2

2021年12月16日

1 はじめに
 令和3年(2021年)10月22日、和寒町の「ふれあいのもり」の樹勢回復措置を行いました。昨年に続き、2回目です。昨年は西側を行いましたが、本年は東側のミズナラ、シラカバなどの樹木が生えている一帯を主体に行いました。
 また、昨年 (2020年) の樹勢回復措置で効果があまりでていないイタヤカエデなどの樹木を対象に、2度目の樹勢回復措置も行いました。

ふれあいのもり東側

 今回の作業に至るまでには、①本年(2021年)5月11日、和光クリーン㈱代表取締役藤村光司氏と打ち合わせ、②本年(2021年)9月29日、上記藤村氏のほかに、和寒町産業振興課、和寒町観光協会、和寒町スポーツ協会の方々との打ち合わせ、を行っています。

 本年5月11日の打ち合わせ時には、「ふれあいのもり」全体に、フルボ酸の植物活性剤フジミン®(以下「フジミン」といいます。)500倍希釈液の散布や施肥を行うよう、藤村氏に助言しました。
 昨年(2020年)の樹勢回復措置で明らかになった表土の薄さは、保水力のなさを示しており、水位は極めて浅く、干害に弱いので、このことに基づいた助言です。
 本年7月の高温少雨を予言したつもりはありませんが、7月にはまさしく憂慮する事態になり、藤村氏に、5月と同様にフジミン希釈液の散布を助言したところです。
 本年7月の高温少雨は、樹勢が弱っている樹木にとってはかなり厳しいものでしたが、和光クリーン㈱の献身的なフジミン希釈液の灌水などによって、多くの樹木が枯損から免れたと思っています。

2 東側の樹勢回復措置
 10月22日の樹勢回復措置の参加者は、和光クリーン㈱代表取締役藤村光司氏ほか4名、和寒町スポーツ協会事務局長渡邊道太郎氏ほか2名、当社樹木医木戸口和裕の計8名で行いました。
 東側においても西側と同様に、①そもそも表土が薄い層であること、②表土が人の踏圧により硬くなっていること、③密植で光合成の争奪戦に敗れた劣勢木が多いこと、に樹勢が弱っている原因があると考えています。

ふれあいのもり東側の林相

 次の土壌改良材を使用しています。昨年よりも北海道砂川産堆肥の量を増やしています。理由は、一つ目として、東側のほか、西側の一部も今回の樹勢回復措置の対象とするため、二つ目として、表土が薄いので、もっとミミズなどが生息できるよう堆肥を多く投入するため、です。
 
 ①フジミン500倍希釈液、②稚内珪藻土(正しくは稚内珪藻頁岩粉砕物)、③北海道砂川産堆肥、④ピートモス、⑤鹿沼土、⑥もみがら燻炭

土壌改良資材

 和光クリーン㈱では、昨年の経験からワーカビリティの向上を図るため、現場練りコンクリートミキサーによって土壌改良材を撹拌混合し、その混合物を「混合土」としてトラクタショベルのバケットに入れ、アスファルト舗装の園路を使用して、林縁まで運搬する、という提案をしています。
 木戸口には、現場練りコンクリートの設計の経験がなく、体力勝負主義者でもあるので、このような発想はなく、和寒コンクリート㈱の前社長の藤村光司氏ならではのこの提案に感服するとともに、「省力化」ということを改めて学ばせていただきました。
 今後、大規模な土壌改良を行う際には、建設業者等の協力を得て、この方法を提案して省力化を図りたいと思っています。

現場練りコンクリートミキサーとトラクタショベル

 樹勢回復措置の内容は、①アースオーガ掘削による縦穴に「混合土」(土壌改良材を撹拌混合したもの)の投入(縦穴式土壌改良法)、②穴あけ器でエアレーション及び固形肥料及び「混合土」の投入、③フジミン500倍希釈液散布、です。

縦穴の掘削に使用したアースオーガなど
エアレーション
フジミン500倍希釈液散布
ふれあいのもり東側の樹勢回復措置状況

3 西側の樹勢回復措置
 昨年(2020年)行った西側は、今回、一部のみ東側と同様の措置を行っています。主な対象木は次のとおり。
(1)イタヤカエデ
 昨年、樹勢回復措置を行った西側のイタヤカエデは、幹の上部の葉は元気がないが、その下部のは活力がありました。下部は昨年秋の樹勢回復措置効果が表れており、上部はこの7月の高温少雨によるダメージが表れているものと思われました。また、樹幹の一部の樹皮がはがれてきましたが、この樹木のもつ防御能力に期待し、今回、樹勢回復措置を行い、様子を見ていくこととしました。

ふれあいのもり西側のイタヤカエデ

(2)シラカバ
 枯れが著しいシラカバは、一層、枯れが進んでいました。表土が薄く、水位も比較的高いで、これについても今回、樹勢回復措置を再び行い、様子をみていくこととしました。

ふれあいのもり西側の枯れが進むシラカバ

(3)枝垂桜
 同じく西側の枝垂桜にも樹勢回復は行いました。これについては昨年の樹勢回復措置の効果が出ていると判断していますが、さらなる成長を期待して行いました。枝垂桜は、エドヒガン(江戸彼岸)の枝が下向きに垂れる栽培品種で、糸桜とも呼ばれています。エドヒガンと同様に、本来、長寿命で成長がよく巨樹になりやすい樹木のはずです。
 この枝垂桜の場合、主幹の内部腐朽があったことや、移植時に細根の大部分が失われ、その後の展開が遅れていることが、樹勢が良くない原因であると思っています。成木の移植は、環状剥皮など十分な根回しをしないと、細根の回復には多くの時間を要することになります。

西側の枝垂桜

4 おわりに
 この「ふれあいのもり」では、本年(2021年)7月の高温少雨という大きな試練がありました。この試練を乗り越えられたのは、和光クリーン㈱の献身的な灌水作業などの保育の賜物と考えています。
 昨年、本年と、2回に渡る大規模な土壌改良を内容とする樹勢回復措置を行ったことになります。土壌改良は、荒療治に見えるかもしれません。しかし、これくらいしないと、ミミズや土壌微生物がたくさん存在して土を耕していく土壌へのドラスチックな転換を図ることはできないと考えています。
 今後も、この「ふれあいのもり」を注視しながら、土づくりによる樹勢回復措置を助言してまいりたい。