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北海道松前町法幢寺の孟宗竹林の間伐等・その4

2021年11月22日

1 はじめに

 平成30年(2018年)から、毎年11月に間伐して、本年(2021年)11月10日、4度目の間伐を行いました。今までとは違って、天気予報の降雨時間帯を見ながらの作業となり、幸運にも雨に当たることなく作業を終えることができましたが、終了後に激しく雨が降りました。

 法幢寺(ほうどうじ)は、松前藩主松前家の菩提寺で、曹洞宗の寺院です。境内には「御霊屋(みたまや)」と呼ばれる歴代藩主の位牌が収められている建物があります。また、寺の横から松前藩主松前家墓所に繋がる通路があり、この墓所手前に、今回作業した孟宗竹林があります。

 孟宗竹林は、北海道では珍しい風景を醸し出し、また、過去の本州との交流の歴史を示すものとして、北海道の古都・松前の観光の一面を担っています。このような竹林を、健全な林のモデルとし、美しい景観づくり、竹材資源の有効活用に資する目的で、間伐等を行いました。

2 間伐作業等

 間伐作業は、当社のボランティア参加の呼びかけで、渡島総合振興局西部森林室からは室長山本孝司氏、森林整備課長向田教孝氏、普及課長高橋英知氏の3名、松前町商工観光課からは公園係長松浦慎也氏1名、当社から樹木医木戸口和裕1名、合計5名が「協働」で行いました。

間伐作業

 作業は、間伐のほか、間伐木は竹炭にするため、90cmの長さに玉切ることや枝払いすること、枝葉などを林外に搬出することやそのための細断を手鋸や電動チェンソーを使用して行いました。新しい竹の発生見合い分、色が変わった竹や混んでいるところの竹を選んでおり、これまででは一番少ない間伐量でしたが、汗だくでの作業となりました。

着手前
完了後

 玉切りした竹材や枝葉は、(有)ニシモク(代表取締役西川敏郎氏)様のご好意により、当日、同社社員の方3名がトラック2台で運搬していただきました。後日、同社で竹炭化していただくことになっており、竹炭は竹林所有者やボランティアで参加していただいた方々などに配布する予定です。

玉切りした竹の運搬車への積み込み

 また、竹炭のような主にエネルギー利用だけではなく、マテリアル利用として、当社で一部、竹材をいただきましたので、「割竹縦穴式土壌改良法」用などの資材として活用したいと思っています。
 
 竹林への施肥作業も行いました。竹林の地力の増進のため、竹林内の一部にエアレーションを行い、遅効性の固形肥料を投入しています。

エアレーション

 また、竹林全体に、フジミンフォーレスト(サンスイ・ナビコ㈱販売)という新製品を散布しました。1袋10kgで、1袋に対して液体であるフルボ酸の植物活性剤フジミン® 1Lをまるごと使用した固形化資材です。液体に比べて持続性に優れています。液体のフジミンの場合、これまで現場へ希釈用の水を運んでいましたが、この手間が省けます。

ペレット状となっているフジミンフォーレスト

 そのほかに、「砂川レイクサイドの会」様から寄贈された堆肥20L、1袋も散布しています。この竹林が活力にあふれ、タケノコの利用や適正な間伐への展開を期待して行っています。

散布状況

3 おわりに 

 一般的に竹林の立竹密度は雨傘をさして歩ける程度が良いとされていますが、当該竹林ではまだ雨傘をさして歩けないところも一部あるものの、昨年「モデル竹林」と称した密度は今回で維持できたものと思っています。
 コロナ禍ではありますが、世界各地から北海道松前町に観光等でおいでいただく日が早く来ることを願うとともに、その時には多くの方々に、福山城や寺町、桜などのほか、この竹林も是非見ていただきたいと思っています。